松陽先生、天上ではいかがお過ごしでしょうか。
ご存知のことと思いますが、これまで色々なことがありました。
自ら命を絶とうとし、過去の記憶をなくし、多くの方々にご迷惑をお掛けしてしまいました。
松陽先生のことまで忘れてしまっていたこと、大変申し訳なく思います。
けれど、大切な方々のおかげで記憶を取り戻すことができました。
高杉さんとも再び一緒にいられるようになりました。
今、私は快援隊という宇宙貿易商社でお世話になっています。
高杉さんが、かつての戦友である快援隊のリーダー坂本さんの相談役を務めているのです。
天性のカリスマ性とこれまでの経験がおありになってか、高杉さんの意見は斬新かつ的確で、
坂本さんだけでなく、他の隊員の方々にとっても、高杉さんは頼れる存在となりつつあるようです。
私は高杉さんのような仕事は到底できないので、賄いをさせていただいています。
真選組の女中として働いていた時とすることは同じなので何も苦はありません。
坂本さんを始め、快援隊の皆さんはとても良くして下さいます。
ただ、坂本さんの片腕である陸奥さんはまだ高杉さんと私のことを警戒しているようです。
残念なことですが、陸奥さんもきっと、坂本さんと快援隊を案じてのことなのでしょう。
高杉さんは最も過激で危険な攘夷浪士と恐れられていたのですから、仕方ないのかもしれません。
高杉さんが何をお考えになっているのか、私にはわかりません。
ただ、人に害を与えるようなことは絶対になさらないと思います。
私が意識を失っていた数年の間に変わってしまったことはあるのかもしれませんが、
そうだとしても、あの頃と変わらず私の大好きな高杉さんなのです。
高杉さんが私を必要としてくださる限り、私はずっと高杉さんの傍にいます。
どんなことがあっても、高杉さんのためにできることがあるはずだと信じています。
もう、逃げたりなどはしません。ですから、
「まだ起きてたのか」
「あ、高杉さん。お仕事、お疲れ様でした」
「ああ。…お前さんも書き物をしてるのか?」
「私事ですよ。今、終わったところです。もう、お休みになられますか?」
「…」
「はい?」
「前々から思ってたんだが、布団は二組もいらねェ」
「え…?」
「同じ布団で寝ればいいだろ。昔のように、なァ?」
松陽先生、どうか見守っていてください。
高杉さんと生きてゆく、この幸福が続きますように。
2006年12月28日 届くことのない手紙を綴る。幸福のはじまりをくれた、あの人の冥福を祈りながら。
>>戻る